●新着情報20011220

欠格条項見直し、8法律案のすべてに相対欠格残る
−「障害者に係る欠格条項見直し関連法案」説明会開催−

 さる12月18日(火)、内閣府主催のもと、「障害者に係る欠格条項見直し関連法案」説明会が開催されました。

 障害者に係る欠格条項の見直しについては、2002年度内に、対象となる63制度すべての見直しを終了するよう、関係各省庁において作業が進められており、現在、43制度について見直しが終了しています。残り20制度のうち、対象となる法律について、次期通常国会へ関連法案の提出が予定されており、それに先立ち、今回の説明会が行われました。

 なお、対象法律は以下の8法律です。

 障害関係団体の参加は、日本身体障害者団体連合会、全日本ろうあ連盟、全国精神障害者家族会連合会、日本てんかん協会、日本盲人会連合、日本精神神経学会、日本障害者協議会の7団体。

 説明会では、はじめに、吉冨宣夫内閣府参事官より概要説明があり、続いて警察庁、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の担当者より、改正の内容等について説明を受けました。

 各省庁の見直し案は、「リハビリテーションの進歩や社会環境の変化等を踏まえて『障害者に係る欠格条項』すべてを見直し、必要性を再検討」という内閣府の方針(障害者に係る欠格条項の見直しに関する方針/1999(平成11)年8月9日/総理府障害者施策推進本部策定)に反し、すべての法律において「相対的欠格条項」が残る内容となりました。

 とくに、警察庁所管の「銃砲刀剣類所持等取締法の一部改正案」では、政令による欠格対象を「精神分裂病、そううつ病、意識障害をもたらすてんかん、痴呆など」疾患を特定する方針であることが明らかになりました。

 これに対し、全国精神障害者家族会連合会、日本てんかん協会、日本精神神経学会、日本障害者協議会からは、「ノーマライゼーションの理念に基づき、今回の見直しが始まったはずであるのに、法律上、障害名や疾患名を特定することは、その理念に反する」「疾患イコールハイリスクという考え方には問題がある」「法律の上に疾患名が残ることで、そうした疾患を負う人は危険であるというような国民の偏見を助長することになりかねない」など、強い反対の意見が出されました。

 これらを受け、行政側からは「内閣府による見直しの方針を踏まえることは前提であるが、個別法によっては目的が異なる場合もあることを理解してほしい」など、極めて消極的な回答がありました。

 最後に、全日本ろうあ連盟より、今回の説明会について「障害関係団体からの意見を改正に反映させることが目的なのか、当事者団体からヒアリングを行ったという事実を作ることなのか。前者が目的であるなら、今日の説明会を踏まえた改正案は出されるのか」との質問があり、吉冨参事官からは、「皆さんの意見を参考にして取りまとめることが目的。ただ、今回の関連法律改正の考え方は、はじめて皆さんにお示しするものであり、今日はその説明の場でした。今後、関係省庁とも調整して、こうした機会を設けていきたい」との回答があり、閉会しました。

 障害者に係る欠格条項の見直し関連法案については、各省庁のWeb上において、パブリックコメントの募集がはじまりました。多くの方からの意見は、国の政策方針を決めるうえで大きな力となります。
 また、「アジア太平洋障害者の十年」最終年記念フォーラムの国内推進キャンペーンでも「欠格条項の総点検」が掲げられています。障害のあるなしに関わらず、安心して暮らしていける社会を創るために、皆さんのご意見をお送りください。

<各省庁のWeb>

<関係団体出席者一覧>


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